ツタンカーメン・ファラオの秘宝展(Toutânkhamon, le trésor du Pharaon)
フランス南西部の旅の記録の途中なのですが、2019年3月23日~9月22日までパリのラ・ヴィレットで開催されている「ツタンカーメン ファラオの秘宝展」に行ってきました、もうすぐ閉幕です。
エジプト考古学、あまり興味がないので子供たちの付き添い、くらいの気持ちでいたのですが、9月はじめにRMCというチャンネルでクフ王のピラミッドの内部を2年間に渡り調査するルポルタージュを見て俄然興味が湧いてきました。
番組の内容は、名古屋大学の森島教授の研究チームが原子核乾板を用いた宇宙線ミューオンの透視(宇宙から降り注ぐ素粒子ミューオンを使ってレントゲンのように可視化する)により、ピラミッド内部に空間があることを発見。
赤外線やレーダーなど別の方法で研究していたフランスやカナダのチームも同じ場所に未知の空間があることを発見した、というもの。
その未知の空間がツタンカーメン王の墓のように宝物で溢れていたなら・・・と想像するだけでも楽しい。
こういうモチベーションで見に行ったのでとても楽しめました。
Parc de La Villette
GRANDE HALLE
75019 Paris
2019年3月23日~9月22日
9月21日までは8時~24時まで開館
9月22日は8時~21時30分まで
料金 : 大人 平日22€、週末24€ / 4-14歳の子ども 平日18€、週末20€/ 4歳未満 無料
ウェブサイト https://lavillette.com/programmation/toutankhamon_e185
8月下旬にチケットをネットで購入して学校が休みの水曜日に行きましたが、時間指定とはいえ1時間以上並びました。
今サイトを見たら、既に完売しているようでネットでの購入はもう不可能な模様。
現地で直接だったら買えるのでしょうか。
古代エジプト第18王朝のファラオ(紀元前1333年頃 ~ 1324年頃)であるツタンカーメンは、18~19歳の若さで逝去し、ルクソール近郊の王家の谷に副葬品と共に埋葬されました。
1922年11月4日に、イギリスのカーナヴォン卿がパトロンとなり考古学者ハワード・カーターにより墓が発見されました。
記録されている古代エジプトのファラオは約90人、すべての墓は盗掘されていて、ツタンカーメンの墓だけが無傷のまま発見された。
この展覧会では、ツタンカーメン王の墓で発見された宝飾品、装身具、彫像など150点が展示。
そのうちエジプト国外では初公開となる品が50点。
これらは2022年ツタンカーメンの墓発見100周年記念に開館予定のギザのピラミッド近くに建設中のエジプト大博物館に収められる予定の物で、これがエジプト国外での見納め。
ルーブル美術館所蔵のアモン神。
ファラオを守る神で、墓が発掘された当時ピラミッドの入り口に立っていた。
後ろにはヒエログラフが書かれている。
1か月半ほど前にヒエログラフを解読したシャンポリオンの生誕地、フィジャックを訪れたのでなんだか色々繋がるなぁと思い返してみたりしました。
画像が小さいですが、ファラオの玩具。
チェスのような感じです、象牙でできています。
この時代のモノづくりの技術が凄い・・・・、宇宙人の仕業かと思う…。
陶器の水差し。
鮮やかなブルーが綺麗。
いびつではなく整っていて3300年以上も前のものとは思えません。
方解石(カルサイト)製の瓶。
左側のはパピルスの花と蓮のモチーフが施された香油入れだそう。
右のも花弁の型で、植物とヒエログラフが書かれている香油入れ、ツタンカーメンとその妻、アンケセナーメンの台座の上に置かれていた。
ツタンカーメンが9歳で王位に就いた時の玉座。
木と象牙、金箔でできていて、足を置く台もあります。
ツタンカーメンの寝台。
木製に金箔。
エジプト国外で展示されるのは初めての物だそう。
木製に金箔が貼られた扇。
半円形の部分には小さな穴が一列に開いていて、そこにダチョウの羽が差してあったのだそう。
彫刻が施された弓矢。
ハワード・カーターとそのチームは、ツタンカーメンの墓で5398点ものオブジェを発見し、その中には弓が80点、矢が400点もありました。
儀式用の盾。
30数点の金が塗られた木製の小像があり、これはそのうちのひとつ、「小舟の上で鑓を放つツタンカーメンの小像」。
高さ75センチの小さな像。
la couronne blanche(クーロンヌ・ブランシュ)という古代エジプトの被り物をしたツタンカーメン。
脚が一歩踏み出しているので動きが感じられる像です。
こちらは創造神Ptah(プタハ)の高さ60センチの像。
プタハは頭巾を被っており、それを青の陶器で表している。
建築家の守護神であり、墓を建てた者たちや埋葬品の守護のため一緒に埋葬された。
190センチもあるこの像は等身大のツタンカーメン。
2体あって、埋葬の部屋の前に立っていたそうだ。
ミイラの周囲には黄金のバンド。
スカラベや鳥、ツタンカーメンの名前や守護するための言葉がヒエログラフが書かれており、それらはラピスラズリや七宝で彩色されている。
3300年も昔にこの技術、やっぱり宇宙人かな・・・。
下は展覧会のポスターにもなっている金製のカノプス(canope)。
王が死後の世界で生きるのに内臓が必要との考えで、遺体をミイラ化する前に取り除いた内臓を納めていた。
ポスターで見ると大きい物かと思っていたら、高さ39、5センチの小さなものです。
上は方解石製で、王の頭が壺の蓋となっている。
宝飾品の細工が素晴らしかった。
スカラベモチーフはあちこちで見られました。
ラピス・ラズリの青がとてもきれい。
そういえば、小学生か中学生の頃、エジプト展に行ってスカラベのブレスレットを買ったことを思い出しました。
細工がとっても精密でため息が出ました。
金、ラピスラズリ、ターコイズ、紅色玉髄(ぎょくずい)石、水色のガラスでできたペンダント、美しかった。
翼を広げた鷹の金製ペンダント。
ヒマラヤスギでできた脚付きの箱。
ヒエログラフで縁取られています。
他にも陶器製のヘッドレスト、ブーメラン、トランペットなどなど興味深い副葬品がたくさんありました。
ツタンカーメンのミイラの写真。
黒い樹脂で塗られている。
黒い肌で描かれている冥界の神オシリスのように、黒く塗ったらしい。
父親アケトナンには愛されていなかったようで、ツタンカーメンの名はどの文献からもわざと消されたり、近親相関(父親と母親は兄妹の間柄)で生まれたせいで病気がちで体が弱く、足も悪かったらしい、死因はマラリアと言われている。
妻は異母姉妹で、女の子供2人は死産、胎児のミイラが発見されている。
ツタンカーメンの墓の見取り図。
ちょうど展覧会に行った翌日、France 5でツタンカーメンの墓についての番組を放送していました。
なぜ3300年以上も発見されなかったのか、という内容でした。
先にも書いたように石碑や文献から名前を消されたり、他の名前に書き替えられ存在を抹消されていたこと。
王が予想外にも若くして亡くなったので大きな墓を作る暇がなく小さなものになったこと。
埋葬の部屋に続く通路は石の壁のあとに無数の大きな石で埋められ、また通路や部屋があると石の壁、無数の石…の繰り返しで幾重にも防護されていた。
王家の谷には無数の墓があり、ツタンカーメンの墓の上に周囲の墓を発掘した際の土砂が積まれ埋もれてしまって発見に時間が掛かった・・・・と展覧会を見た直後にとてもタイムリーで興味ある番組でした。
今まで足早に通り過ぎていたルーブル美術館のエジプト部門、行きたいけど大きな美術館は疲れます…。
貴重なものをたくさん見れた良い機会でしたが、ヴィレットも時間指定であっても並んで、入場制限してあっても内部は人でごった返しててちょっと疲れました。
読んで頂いてありがとうございます。
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